70代の女性、Mさんがおみえになりました。

Mさん「先生・・私このところ夜のトイレの回数が増えたんだけど、どうしてかしらねぇ~?」

私「う~ん、何回くらい起きるの?」

Mさん「多い時だと3回くらいかしら」

私「ふ~む」

まぁ~、我々漢方を勉強している人間は、こんな時「八味地黄丸」という処方が頭に浮かぶんです。

これは、老化から来る夜間頻尿に最も幅広く使えるお薬で、足腰の弱りや目の老化症状、肌のかさつきなどに幅広く使える処方なんです。

しかし、あれこれと症状を尋ねていくと、ある違和感に気がつきました。

そして、その真相を確認すべく最後の質問をしました。

私「朝になると足が細くなってない?」

Mさん「そうなのよ!!先生!何で解かるの?」

はい、Mさんの夜間頻尿の原因は実は心臓の筋力の低下から起こっていたものだったのです。

日中は立って、もしくわ座って生活していますよね。

もちろん心臓はいつも必ず足よりも上に位置しているわけです。

しかし、「寝る」という姿勢は、心臓と足の位置が水平になりますよね。

心臓のポンプの力が衰えてしまうと足先まで重力で降りていった血液をびゅんびゅんと心臓まで押し返すことが難しくなってきます。

結果、膝から下に血流の停滞が起こり、血管から血漿とよばれる液体成分が漏れ出してしまいます。

この漏れ出した液体成分が細胞間にたまっている状態が浮腫みなんです。

さて、寝ると何が起こると思いますか?

この下に溜まった液体成分が一気に心臓に戻ってきてしまうんです。

心臓は「一大事!!」と感じ、ただちにBNPという利尿ホルモンを作ります。

結果、寝ている間にどんどんおしっこが作られてしまうので夜間尿が増えてしまうわけです。

昼間パンパンだった、膝から下の浮腫みが朝になるとキレイさっぱりとれてしまう理由は心臓のポンプ機能の弱りからくるものだったんですね。

Mさん、心臓にいい栄養素を飲むようになったら、すっかり調子がよくなりましたよ。